春の七草


 
 
春の七草とは、ナズナ、ハコベ、ゴギョウ(ハハコグサ)、セリ、ホトケノザ(コオニタビラコ)、スズナ(カブ)、そしてスズシロ(ダイコン)のことである。1月7日に、この七草を粥にして食べる風習がある。では、その「七草」を紹介していくことにする。


1.ナズナ(アブラナ科)

 
これも、「春の七草」の一つである。ふつうは秋に芽生え、ロゼットで冬を越し、春に花を咲かせるが、暖かい地方では、その年のうちに花を咲かせるようである。ハコベと同じく、どこにでも見られる植物である。ナズナの別名を「ペンペングサ」と言うことがあるが、果実が逆三角形になり、三味線のバチに似ているから、そう呼ばれている。果実の部分を下に引っ張り、茎の皮を少し剥いて、それをまわすように振ると、チリチリというような音がする。

   


2.ハコベ(ナデシコ科)

 
越年生または1年生。「春の七草」の一つ。「ハコベラ」との言う。花は白くてかわいい。花弁は10枚である。春にいちばんよく目につくが、冬でも夏でも生息している。畑地や田んぼのあぜ道、道ばたなどに、ごくふつうにみることができる。

   


3.ゴギョウ(ハハコグサ)(キク科) 

 越年生。時に1年生。空き地、道ばた、田んぼのあぜ道、畑地などに、ごくふつうに生育している。秋に芽生え、越年するものもあるが、春になって芽生えるものもある。春の七草の一つで、「ゴギョウ」ともいう。葉は白い密集した毛で覆われていて、薄緑色に輝いて見えるから、すぐにそれとわかる。

   


4.セリ(セリ科)

 池の浅い所、流れのゆるやかな川や田んぼの水路などで見ることができる。また、生活排水の用水路など、あまりきれいな水でない所でも育つ。

   



5.ホトケノザ(コオニタビラコ)(キク科)

 コオニタビラコの「タビラコ」は漢字では、「田平子」と書く。越年生で、冬はロゼットで越し、春になって茎を伸ばし、黄色いちいさな花を咲かせる。田や畑地、田のあぜ道などで見られる。タンポポ、ノゲシ、オニノゲシ、イヌガラシ、ナズナなど、ロゼットの状態の時には、なかなか見分けがつきにくいようである。ホトケノザという名前であるが、漢字では、「仏の座」と書き、仏さんが座っている所みたいだから、こういう名前になったようだ。

    

    花の部分を拡大


6.スズナ(カブ)(アブラナ科)

 スズナの別名は「カブ」。と言うよりは、カブの別名が「スズナ」と言ったほうがよいかもしれない。根は、白く、丸い。また、とても大きくなる。葉の部分がとても美味しいということだ。


7.スズシロ(ダイコン)(アブラナ科)

 スズシロの別名はダイコン。ダイコンは作付け面積で最も多い野菜である。種類も青首大根、聖護院大根など、たくさんある。根の部分を煮たりすり下ろしたり、また漬け物にしたりして食用にするが、葉も食用になり、とても美味しい。


(参考)

 ホトケノザ  

 春の七草に「ホトケノザ」というのがあるが、このホトケノザとは別種である。花は赤紫色で、花をとって根本の部分を吸うと甘い味がすることがある。花の蜜のせいであろう。

    



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