秋の野の花を見つけよう!

 野の花の秋シリーズです。見つけた場所は、春や夏の時と同じです。


  

ヒガンバナ

 この花が咲き始めると、「秋が来たな。」と思う。
 ヒガンバナの別名は、マンジュシャゲ、お墓などに供えることもあるから、「シニバナ」というありがたくない名前もちょうだいしている。
 ヒガンバナは、秋の彼岸の時季を知っているかのように、急に茎が伸びてきて、赤い鮮やかな花をつける。田んぼのあぜ道などに、群生して生えている。稔りを迎えた稲の黄金色との対比がとてもきれいである。
 下の写真は、ヒガンバナで作った「レイ」である。茎を交互にポキポキと折って作っていく。これを作ったりしていると、ヒガンバナには葉がないことに気付くであろう。

  

 右:白いヒガンバナ(?)これは勤務先の庭に咲いていたもので、毎年、ここに咲いている。
   後でわかったが、「シロバナマンジュシャゲ」というのが正式な名前である。



   右はエノコログサ

キンノエノコロ

 エノコログサには、いくつかの種類があるが、その一つである。穂の部分が毛虫のような感じである。実際に穂の部分を手で握るようにしたり開いたりすると、穂が生き物のようにもそもそと動く。ズボンなどの裾に入った穂が歩いている間に、だんだんと上の方に移動してきたということも、起きるのである。



 

 ススキ

 秋の花(と言うよりも、草)の代表格な植物である。山地の草原から、平地の空き地など、いたる所に生えている。ススキの穂の色は、白っぽいのもから黄金色、そして、赤茶色のもまで様々である。ススキと言うと、中秋の名月(満月)を連想する。ついでに、スズムシやコオロギなどの秋の虫が出て来ると、なお、秋の趣になる。



   花

 ヤブマメ

 白がベースで紫色の花が咲く。野原、路傍、林縁などに群生するようだ、蔓を使って、他の植物に巻き付きながら成長していく。3個ぐらいの種子の入った実をつけるということであるが、私はまだ見たことがない。



   花

 ツシマママコナ

 ママコナの仲間で、広島県では、このツシマママコナがいちばん多いということだ。赤紫色の細長い花が咲き、花の先の部分に白い模様があるのが特徴だ。



   花

 ツリガネニンジン

 花の付き方を釣り鐘に見立ててこの名前が付けられたようだ。釣り鐘と言うよりは小さなベルという感じである。薄紫色の花がきれいである。高原から山野の草地までよく見られる多年草である。



   花

 オオバコ

 道ばたなど、人の踏みつけの多い所に生育する多年草である。こういう人が踏みつけるような所でも生育する植物のことを、「人里植物」と言うそうだ。葉には数本の脈が平行に走り、柄につながっていて、それが葉を丈夫にしている。柄を切ってみると、白い筋が出てくる。



    

  

 コスモス

 「秋桜」とも言われ、秋を代表する花である。コスモスは野生種ではないと思われるが、休耕田やあぜ道などによく咲いている。コスモスの花の色は白、ピンク、赤紫色のものがふつうであるが、やまぶき色のものもある。私は、それは別物だと思っていたが、最近になって、それもコスモスであるということがわかったのである。



 

 イタドリ

 「春の花」でも紹介したイタドリのその花である。白く小さい花が咲いていた。



 

 センニンソウ

 広島県では、沿岸部でよく見られる。白い十字型の花が咲く。似た花にボタンズルがあるが、葉に切れ込みがないので区別することができる。私は見たことがないのだが、果実は長い羽根のような白い毛が付いていて、その毛を仙人の白髪に例えて、この名が付けられたということである。



 

 ツユクサ 

 道ばたや庭などでごくふつうに見られる。露を帯びた花という意味で名付けられたようで、梅雨時に咲く花という意味ではないらしい。花びらは6枚あるが、そのうちの2枚が鮮やかな青色をしていて、とてもよく目立つ。ツユクサの花は1日でしぼんでしまう。  



 

 ノコンギク

 ヨメナかも知れないが、どちらもよく似ている。ノコンギクの名前の由来は、「野に咲く紺色の菊」ということだ。花は薄い紫色をしているが、蕾のときは、その色がもっと濃い。田畑のあぜや道ばた、川の土手などによく咲いている。



 

 カタバミ

 家の周りや空き地でよく見られる。黄色い花とハート形の葉が特徴で、一目でそれとわかる。カタバミを漢字で書くと「酢漿草」となる。そのことから、酸をたくさん含んでいることがわかる。実際、蓚酸を多く含んでいるようだ。なお、ムラサキカタバミと言って、赤紫のやや大型の花が咲く種類のものもある。



 

 イヌタデ

 人家周辺でよく見られる。赤い花穂を摘み取って揉みほぐし小皿に盛ったりしてママゴト遊びにも使われたようだ。アカマンマという別名も、この花穂を赤飯に見立てたからであろう。



 

 カヤツリグサ

 茎は三角形をしていて、葉も三方向に出る。茎を両方から裂いていくと、四辺形になることがある。それが蚊帳を吊る様子に似ているので、この名前が付いたのだと思われる。



 

 アメリカセンダングサ

 「ひっつき草」の代表的な植物であり、黄色い花が咲いた後の実は、先端に棘があり、衣服など至る所に付着する。名前の通り、帰化植物で北アメリカが原産である。



   花

 アキノタムラソウ

 ヤマハッカやイヌトウバナと同じシソ科の植物で、見分けがけっこう難しい。「田村」の意味は、人の姓ではなくて、田舎の原野という意味だそうだ。



   花

 ツルボ

 田畑のあぜや道ばたでよく見られる。ユリ科の多年草で、別名をセンダイガサ(参内傘)と言うそうだ。薄い紫色の花が目を引く。



 

 イナカギク

 日当たりのよい林縁や道ばたでよく見られる。「田舎菊」という名前のように、田舎の野山に咲く花としてぴったりだろう。



  

 セイタカアワダチソウ

 秋になると高く直立するようになり、背丈はゆうに超えるようになる。また黄色い花も目立つので、すぐにそれとわかるだろう。セイタカアワダチソウは北アメリカ原産の帰化植物である。アルカリ土壌を好むようで、都市近郊の開発された空き地や、コンクリートで固められた川原などの近くで、よく見られる。



 

 ジシバリ

 荒れ地や庭、畑の周りや道ばたなどでよく見られる。ほふく枝を伸ばし、そこから直立した柄を立てて黄色い花が咲く。地面をしばるように広がっていくことから、この名がついたと思われる。



 

 アキノキリンソウ

 日当たりのよい山地に咲くということだが、ここでも、例外ではない。いたる所に黄色い花を咲かせていた。ところで、「キリン」という言葉が入っているが、その由来はよくわからない。



 

 ヤクシソウ

 アキノキリンソウと同じく、日当たりのよい所に競うように咲いていた。ヤクシソウの語源は、「薬師草」だと思われるが、はっきりとしていないということだ。



 

 イシミカワ

 河原や農道の縁などに群生するということだが、この地域でも同様である。この写真のイシミカワの実は全部黒色をしているが、緑色や空色、また紫色をしていたこともあった。黒色系のブドウの実の色の変化によく似ていると思う。したがって、これは、熟成した実なのであろう。



 

 ノゲシ

 空き地、家のまわりで、ごくふつうに見ることができる。春に開花するものが多いが、秋にも咲く。越冬生または一年生である。秋に芽生えて、ロゼットを作って冬を越す。茎を切ると白い汁が出てきて、これをさわるとかぶれるという説もあるが、確かではない。



 

 ヒメジョオン

 越年生ないし二年生の花で、ハルジョオンに似ている。白い針のような花弁の花が咲く。空き地や田畑の周囲、道ばたなどに見られ、群生していることが多い。


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