牧師室の二窓 Pastor's note

★映画『東京家族』を観る★

 先週『東京家族』という映画を観た。これは今から60年前、1953年に作られた小津安二郎監督の『東京物語』を山田洋次監督がリメイクした映画で、広島県の大崎島から東京に出た子供たちを訪ねて老夫婦が上京してからの展開を描いている。東京スカイツリーも登場する2013年の、どこにでもあるような、あまり楽しいわけではない平凡な家族関係の物語である。戦後8年の時代も今日も変わらぬ日本の心象風景がそこにあった。ぎすぎすした人間関係を淡々と描く中で、ひとり、末息子のフィアンセの優しさが際立つ。リアリズムに徹した描写力によって、どこにでもありそうな、だけど、得難い優しさに大勢の観客が涙したのだと思う。優しさは世界共通の普遍的価値であり、日本人に大いに共感され、日本人が神様から与えられた賜物であることを、この映画と観客の反応をとおしてしっかりと自覚したい。




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