前回に続いて追加の情報を書いていくことにする。今回の皆既月食は大勢の人が観察しやすい時間帯に起こる。ぜひ、写真に撮って残したいものである。
そこで、写真を撮るときのノウハウをいくつか書いていくことにする。今度のような”天体ショー”は、必ずと言っていいぐらい翌日の新聞の記事になっている。写真撮影に成功したら、そういう新聞カメラマンの気分が味わえるかもしれない・・・。
78.手軽な固定撮影で
天体写真を撮る方法でいちばん手軽な方法は「固定撮影」である。前にも紹介したと思うが、カメラを三脚に固定し、シャッターを開けっぱなしにいておくと、美しい日周運動を記録することができる。赤い月とともに、周りの星もレコードの溝のような光跡を描いて写し止めることができる。
【固定撮影のポイント】
@カメラを三脚にがっちりと固定する。
Aレンズのピントリングを無限遠(∞)に、また、絞りは1段か2段絞る。
Bシャッタースピードは、「バルブ」(B)か、「タイム」(T)にする。
Cファインダーを覗いて構図を決め、シャッターを開ける。
D一定の時間シャッターを開けたら、それを閉じる。
※30〜60分ぐらいが適当。
79.連続写真に挑戦
多重露出機構のあるカメラと28mmか35mmぐらいの広角レンズが準備できるなら、連続撮影に挑戦してみるとよい。月がどっちの方向に動いていくのかを計算して構図を決め、後は「固定撮影」の時のようにカメラを固定する。レンズのピントリングは無限遠(∞)、絞りはやはり1〜2段絞っておく。シャッターは5分おきか10分おきに切っていき、フィルムを巻き上げる時に多重露出ボタンを押すようにすると、1駒のフィルム面に、月が連続して写っていくことになる。
【連続撮影のポイント】
@月の動く方向を計算して構図を決める。
A露出時間の間隔を均等にする。
B皆既に近くなったら、露出時間を長くする。
80.望遠レンズでも撮ろう!
望遠レンズを持っている人は、ぜひ、そのレンズを使って撮ってみてほしい。300mmクラスの望遠レンズだと、かなり大きく写るようになり、月の模様もはっきりとわかるようになる。とは言っても、写る月の大きさは焦点距離の約100分の1であるから、300mmのレンズでも、フィルム面には3mmの大きさにしか写っていないことになる。望遠鏡につないで写すという方法もあるが、これはかなり専門的になるのでここではふれないことにする。
【望遠での撮影のポイント】
@ブレやすいので、カメラをしっかりと固定する。
Aフィルム面に写る大きさは、焦点距離の100分の1。
81.撮影するときのデータ
食分 フィルムの感度 |
ISO100のフィルム 絞り(f値) シャッタースピード |
ISO400のフィルム 絞り(f値) シャッタースピード |
半影食(満月) |
8 1/250 〜1/500 |
11 1/500 〜1/1000 |
欠け始め、欠け終わり |
8 1/125 〜 1/500 |
11 1/250 〜 1/500 |
食分20% |
8 1/125 〜1/500 |
11 1/250 〜1/500 |
食分40% |
8 1/60 〜1/125 |
11 1/125 〜1/250 |
食分60% |
8 1/30 〜1/60 |
11 1/60 〜1/125 |
食分80% |
8 1/8 〜1/15 |
11 1/15 〜1/30 |
皆既の始め、終わり |
4 1秒〜2秒 |
5.6 1秒〜2秒 |
皆既中 |
4 5秒〜10秒 |
5.6 3秒〜6秒 |