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77.月食の写真を撮ろう!

 前回に続いて追加の情報を書いていくことにする。今回の皆既月食は大勢の人が観察しやすい時間帯に起こる。ぜひ、写真に撮って残したいものである。
 そこで、写真を撮るときのノウハウをいくつか書いていくことにする。今度のような”天体ショー”は、必ずと言っていいぐらい翌日の新聞の記事になっている。写真撮影に成功したら、そういう新聞カメラマンの気分が味わえるかもしれない・・・。

78.手軽な固定撮影で

 天体写真を撮る方法でいちばん手軽な方法は「固定撮影」である。前にも紹介したと思うが、カメラを三脚に固定し、シャッターを開けっぱなしにいておくと、美しい日周運動を記録することができる。赤い月とともに、周りの星もレコードの溝のような光跡を描いて写し止めることができる。
 【固定撮影のポイント】
   @カメラを三脚にがっちりと固定する。
   Aレンズのピントリングを無限遠(∞)に、また、絞りは1段か2段絞る。
   Bシャッタースピードは、「バルブ」(B)か、「タイム」(T)にする。
   Cファインダーを覗いて構図を決め、シャッターを開ける。
   D一定の時間シャッターを開けたら、それを閉じる。
    ※30〜60分ぐらいが適当。

79.連続写真に挑戦

 多重露出機構のあるカメラと28mmか35mmぐらいの広角レンズが準備できるなら、連続撮影に挑戦してみるとよい。月がどっちの方向に動いていくのかを計算して構図を決め、後は「固定撮影」の時のようにカメラを固定する。レンズのピントリングは無限遠(∞)、絞りはやはり1〜2段絞っておく。シャッターは5分おきか10分おきに切っていき、フィルムを巻き上げる時に多重露出ボタンを押すようにすると、1駒のフィルム面に、月が連続して写っていくことになる。
 【連続撮影のポイント】
   @月の動く方向を計算して構図を決める。
   A露出時間の間隔を均等にする。
   B皆既に近くなったら、露出時間を長くする。

80.望遠レンズでも撮ろう!

 望遠レンズを持っている人は、ぜひ、そのレンズを使って撮ってみてほしい。300mmクラスの望遠レンズだと、かなり大きく写るようになり、月の模様もはっきりとわかるようになる。とは言っても、写る月の大きさは焦点距離の約100分の1であるから、300mmのレンズでも、フィルム面には3mmの大きさにしか写っていないことになる。望遠鏡につないで写すという方法もあるが、これはかなり専門的になるのでここではふれないことにする。
 【望遠での撮影のポイント】
   @ブレやすいので、カメラをしっかりと固定する。
   Aフィルム面に写る大きさは、焦点距離の100分の1。

81.撮影するときのデータ

 食分    フィルムの感度

 ISO100のフィルム

  絞り(f値)   シャッタースピード

 ISO400のフィルム

  絞り(f値)   シャッタースピード

  半影食(満月)

    8      1/250 〜1/500

    11     1/500 〜1/1000

  欠け始め、欠け終わり

    8      1/125 〜 1/500

    11     1/250 〜 1/500

   食分20%

    8      1/125 〜1/500

    11     1/250 〜1/500

   食分40%

    8      1/60 〜1/125

    11     1/125 〜1/250

   食分60%

    8      1/30  〜1/60

    11     1/60 〜1/125

   食分80%

    8      1/8  〜1/15

    11     1/15 〜1/30

  皆既の始め、終わり

    4      1秒〜2秒

   5.6      1秒〜2秒

   皆既中

    4      5秒〜10秒

   5.6     3秒〜6秒


  ※参考:@この表はあくまでも目安なので、段階露出をしておくとよい。
       A望遠レンズまたは望遠鏡での撮影データなので、
        広角レンズや標準レンズでは、露出時間がもう少し長い方がいいと思う。  

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