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72.夏至は過ぎたが・・・

 日の出と日の入の時刻については、以前の天文のページに書いたように、早くなる日と遅くなる日は、夏至(または冬至)の日とは一致しない。広島の場合は、日の出がいちばん早くなる日は、夏至の日より2週間ぐらい早く、日の入がいちばん遅くなる日は、逆に2週間ぐらい遅い日になる。これは、(前にも書いたと思うが)地球が、完全な球形ではなく、楕円のようにややへしゃげた形をしているためである。
 広島あたりでは、夏至の日の日の入の時刻は7時25分ぐらいである。したがって、ナイターの開始時刻のころは、西日がまだしっかりと射している。広島市民球場では、ホームベースから見るとレフト方向に西日が射しているので、その西日対策として、レフトスタンドの上に大きな日除けのプレート(移動式の立て看板のようなもの)が設置されている。それにしても、広島地方特有の「凪」の時間は蒸し暑くてたまらない。市民球場でナイター観戦をしたことのある人ならきっとわかるはずだ。

73.今世紀最後で最大級の「皆既月食」

 2000年7月16日の宵から17日の未明にかけて皆既日食を見ることができた。今回の月食は、月が地球の影のほぼ、ど真ん中を通過していくため、皆既(月が完全に地球の影に隠れている時間)が、1時間47分にもなるそうだ。次回にこんな条件で見られるのは、2029年のことなのである。
 今回の月食は、いわゆる「ゴールデンアワー」の時間帯に見られるのも好条件の一つで、こんなに好条件になることはめったにないことである。あとは、お天気。梅雨空け前のころなので、空の状態が気がかりである。これだけは、どうしようもないが、空も好条件になってほしいものである。

74.月食の経過についてもっと詳しく・・・

 今回の月食の開始時刻は、20時57分過ぎからである。ここでいう「始まり」とは、「本影食の始まり」のことで、それより前から「半影食」は始まっている。半影食では、月がわずかに暗くはなっているのだが、肉眼ではなかなか「暗くなった」と見分けることはできない。だから、ここでは、「暗くなってきた」とわかる本影食の始まりの時刻から、書いていくことにする。

  2000年7月16日の皆既月食

    ○20時57分過ぎ     本影食の始まり
    ○21時15分ごろ     全体の20%ぐらいが欠ける
    ○21時25分ごろ     全体の40%ぐらいが欠ける
    ○21時35分ごろ     全体の60%ぐらいが欠ける
    ○21時45分ごろ     全体の80%ぐらいが欠ける
    ○22時02分過ぎ     皆既月食の始まり
    ○22時55分半      月食の最大
    ○23時49分過ぎ     皆既月食の終わり
    ○24時10分ごろ     全体の70%ぐらいがまだ欠けている
    ○24時20分ごろ     全体の50%ぐらいがまだ欠けている
    ○24時30分ごろ     全体の30%ぐらいがまだ欠けている
    ○24時40分ごろ     全体の10%ぐらいがまだ欠けている
    ○24時50分ごろ     まだわずかに欠けている
    ○24時54分前      本影食の終わり

     ※24時を過ぎた時刻は、17日になっていることを表している

75.皆既月食の時の月の色

 皆既月食の時に月は地球の影の中に入るので、月の姿が完全に見えなくなるかというと、そうではない。実際には、赤銅色、つまり、きれいな10円玉のような色でぼんやりと輝いている。これは、地球の大気を屈折して通り抜けた赤い光が本影の中に入り込んで、夕焼けのように地球を照らしているからだそうだ。
 しかし、地球の大気の状態によって、赤さの度合いはずいぶん異なっている。火山が噴火し後などには、噴煙などによって大気は濁り、赤い光があまり届かず、ほとんど真っ暗にしか見えない時もあるようだ。今回の皆既月食では、どのくらいの明るさ(赤さ)に見えるか注目していきたいものである。

76.皆既前の月の色にも注目しよう!

 皆既月食の時の赤銅色の月も幻想的だが、皆既前後の月の色にも注目したいものである。とくに、皆既直前の月は双眼鏡などで、じっくりと観察してほしいものである。最初はわかりにくいかもしれないが、微妙な色合いに気付くと思う。74.の所で、皆既中の月面には赤い光が届いているから赤く見えていると説明したが、それより前では、赤い光だけでなく黄色や緑色などの波長の短い光も届いている。そのため、それらの光が混ざって微妙な色合いで見えているのである。


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