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122.しし座流星群

○流星群はなぜ見られるのか?

 今回は、「しし座流星群」のことについて書いていくことにする。流星が数多く見られることを「流星群」という。また、雨のごとく流星が見られる時は、「流星雨」ということもある。そんな、流星群が11月19日の未明に見られるかもしれないのである。
 さて、流星は宇宙空間にある”ゴミ”が地球の大気の摩擦によって発光し流れ星として見られるものであるが、その”ゴミ”の多くは、彗星がまき散らしたものである。その、彗星の軌道上に”ゴミ”がたくさんある所を地球が通過していくため、流星群として見られるのである。
 流星が見られる時間帯は、夜明け前になることが多い、これは、地球の公転方向に”ゴミ”がぶつかりやすいからである。
 しし座流星群は19日の未明に見られるかもしれないと、書いたが、ここ2〜3年は”ハズレ”であった。雲が出ていて見ることができなかったり、晴れていても流星の出現数が少なかったりと・・・・。でも、今度は期待できそうだ。天文誌や新聞の記事によると、彗星のまき散らした”ゴミ”が高密度に存在していると言われているからである。
 ところで、流星は空のどのあたりに見えるのかというと、「しし座流星群」との名前にもあるように、しし座の1等星「レグルス」の上にある、「ししの大鎌」と呼ばれている部分から、四方八方に流れるようである。この中心になる部分を「輻射点」という。その輻射点から、花火のように飛び散っていくのである。これは、雪の日の夜、車を走らせていて、フロントガラス越しに見える雪が四方八方に拡がって見えるのとよく似ている。しし座は19日の午前3時頃には、東の空にある、裏返しの?(クエスチョンマーク)のような星の並び形を見つけることができると思う。それが、「ししの大鎌」と呼ばれる部分であり、ししの頭の部分を構成している星である。

○流星群の観察

 しし座流星群を観察してみよう。と、言っても、特別な道具は必要ない。自分の肉眼で観察するのである。あと、星座盤があったらいいかもしれない。天体観測と言うと、双眼鏡や望遠鏡が必要だと思いがちであるが、流星の観察に関しては、そんなものは要らない。今回の流星群は出現する位置(輻射点)が予測されているが、そこを中心にしてどこに出現するかはわからないのである。望遠鏡などを使うと流星が大きくはっきりと見えそうであるが、視野が狭くなるので、観察には不向きなのである。後は、防寒対策に注意を払いたい。11月中旬それも深夜から明け方にかけての観察になるので、相当厳しい冷え込みが予想される。流星を見たがために大風邪をひいてしまったということになって欲しくないものである。

○流星群を記録する

 しし座流星群を記録として残そう。カメラでその現象を撮影するとよい。カメラは最近のオートフォーカスの全自動のカメラよりも、昔のカメラのほうがよい。いわゆる、「マニュアル式カメラ」、シャッターが機械式のものがよい。シャッターの目盛に「B」(バルブ)や、「T」(タイム)の目盛があればよいのである。「B」や「T」の目盛にダイヤルをあわせると、シャッターを長時間開きっぱなしにできるからである。流星は、いつどこに出現するかわからないので、一定の時間シャッターを開けておかないと、写しとることができないのである。これは、花火や舟の航跡、稲妻などを撮影するときも言えることである。
 次に必要なものは、レリーズと三脚。これらの道具は、カメラを固定したりカメラを振動させないようにするために必要なものである。
 レンズは、焦点距離が35mm以下の「広角レンズ」がよい。広角レンズは、より広い範囲を写すことができるので、都合がよいのである。また、レンズが交換できないカメラでも、シャッターに「B」などがあれば、OKである。この機会に、写真を撮ってみよう!
 では、実際の撮影方法について書いていくことにする。まず、カメラを三脚にしっかりと固定し、シャッターボタンの所にレリーズを取り付ける。三脚とレリーズがなくても写真を写せないことはないが、あったほうよい。
次にフィルムであるが、ふだん使っているカラーフィルムでよい。でも、できれば感度の高いものがよい。日本でよく売れているフィルムは「フジカラー400」であるが、それでかまわない。でも、「800」とか、「1600」というより感度の高いフィルムをすすめる。また、ネガフィルム(プリント用)よりも、ポジフィルム(スライド用)の方が、発色の点ではすぐれているようだ。
 さて、ここまでできたら、撮影場所に行くことになるが、その前に、レンズの絞りとシャッタースピードを合わせておこう。レンズの絞りは、開放より1段から2段絞る(開放の数値が1.4だったとすると、2か2.8ぐらいの目盛に合わせる)ことにしよう。また、開放値が3.5ぐらいだったら、そのままでよい。焦点は無限大(「∞」のマークがある所に合わせておく。また、夜露でレンズが曇りやすいので、カイロなどを巻いておくとよい。シャッターは、「B」か「T」に合わせておく。(「T」がついているカメラはニコンを除いてほとんどない)
 これで、撮影準備がOKだ!後は、撮影したい方向にレンズを向け、シャッターを切るだけである。10分か20分ぐらいシャッターを開けておけば、画面のどこかに流星が飛び込んで来て写るにちがいない。
 前にも書いたが、寒さと眠さとの闘いになる。2時過ぎから夜明けまで、防寒対策と眠気対策を万全にして、流星群を眺め、記録を残してほしいと願っている。流星をはじめ、天体写真は意外に簡単に撮れます。「昼の風景」が「夜の風景」になったと思えばよいのである。

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ここで、もう一度おさらいすることにする。

@しし座流星群は・・・・

 しし座の「ししの大鎌」あたりから、四方に広がるように流れ星が見られる(予定)。ピークは19日の午前2時から4時ごろ。なお、前後の日も要注意!

Aしし座流星群の観察は・・・・

 肉眼でばっちり観察できる。ただし、防寒対策を怠りなく!

Bしし座流星群を記録するには・・・・

 必要な物

  ・カメラ ・三脚 ・レリーズ ・フィルム

 写し方

  ・カメラをしっかり固定し、レンズは開放か1〜2段絞り込む。
  ・ピントは∞。出そうな方向に向けて、シャッターを切る。
  ・シャッターの目盛は「B」にしておく。

Cうまく写っていたら・・・・大喜びしよう!

D雲が出ていたら・・・・潔く諦めよう。

 私も、撮影に挑戦してみるつもりである。それにしても、月曜日の早朝になるから、キツイねぇ。

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○おまけのハナシ

 ところで、流れ星が出た時に、願い事を3回唱えるとそれが叶うと、よく言われるが、実際、流れ星が飛んでいる間にそれを言うのは不可能に近い。流星は一瞬のうちに飛ぶ。また、いつ、どの方向に飛ぶかは、予想がつかないので、「流れ星だ!」と思ったとたんに消えているだろう。まぁ、今回の流星群は輻射点がわかっているので、その方向を注目すればよいのだが、それでも、出現して消えるまでの時間はわずかなのである。
 流星の出現から消滅までの時間を計る方法として、次のようなものがある。「ダルマサンガコロンダ」を1秒間に正確に言えるように練習しておく。流星が出現したと同時に、その言葉を言うのである。例えば、「ダルマサンガコロ」まで、言ったときに消滅したとすると、出現時間は0.8秒だったということになる。流星の出現時間はこんなものである。だから、願い事を3回も言うのは、とても無理なことなのだ。


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