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121.つるべ落としの夕日

 秋の夕日はつるべ落としと言われるように、秋は夕日が沈むと一気に暗くなっていくような気がする。しかし、実際には、太陽が沈んで空が暗くなるまでの時間はほとんど変わらないと考えられる。太陽が沈んで空が完全に暗くなるまでの状態のことを、「薄明」と言うが、それは太陽が地平線から18°沈むまでの状態のことである。地球は自転によって1時間に15°回転しているから、薄明の時間は72分間ということになる。地球の自転の速度が季節によって急に変化することはないはずであるから、春でも秋でも、空が暗くなるまでにかかる時間は、そんなに変わらないと考えるのが妥当である。しかし、秋の空は何故あんなにはやく暗くなってしまうのか・・・。それは次のような理由が考えられる。まず、秋の日の入の時刻は日を追って短くなっているからである。日の入の時刻は夏至の頃(実際には7月上旬ごろ)を境に短くなっていくのであるが、秋分の日ごろが変化が最も大きいのである。この頃は、1日に1分以上も早くなっていっているのである。そして12月上旬に日の入の時刻がもっとも早くなるのである。9月でみると、月始めと終わりでは、実に40分も早くなっている。(40分というのは広島地方の話で、広島より緯度の高い地方では、もっと早くなる。)
 この、急激な日の入の変化が、心理的作用になって、「秋の夕日はつるべ落とし」と言われるようになったのではないかと考えられるのである。
なお、日の出は、9月の1か月間では20分ぐらいしか遅くならない。日の出の時刻が急激に早くなっていくのは、春先のことで、逆に日の入は、なかなか遅くなっていかない。だから、春は日が暮れても、なかなか空が暗くならないように感じるのである。

 ☆三原市における日の出、日の入の時刻

  月  日

 日の出の時刻

 日の入の時刻

 9月 1日

    5時40分

   18時36分

 9月30日

    6時00分

   17時55分

   アストロアーツ「ステラナビゲータ」で計算している。

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