天文のページ(5)     ←BACK  NEXT→      トップページへ

15.「三日月」の話

 夕方、西の空にきれいな三日月を見ることができた。三日月は「新月」から数えて3日目の月のことであるが、草を刈る鎌のように細長い形をしている。
 しかし、よく見ると、三日月の残りの部分も薄ぼんやり光っているのがわかる。このぼんやり光っている部分を、「地球照」と呼ぶのだそうだ。西洋では、「新しい月に抱かれた古い月」とも言うそうだ。地球に当たった太陽光線が反射したのが、月面にも届き、光って見えているということだ。地球から三日月が見える時、月から地球を眺めると、ほぼ満月(いや、「満地球」かな?)に見えているそうだ。地球は月より4倍ぐらい大きいから、とても明るく見えて、地球の光が月面を照らしているにちがいない。
 ところで、西の空に沈みかけている月の向きが、見る時期によってずいぶんちがっていることがある。これは、太陽の通り道(黄道)と、月の通り道(白道)がずれているためである。つまり、そのズレが少ないと、西に沈む月は横に寝たように見え、黄道が北側(西の空では右側に)にずれると、月は斜めに立ったように見える。私の住んでいた地方では、月が横に寝ていると、その頃は雨が多くて、三日月によく溜まるんだ、と、うちの母が言っていたのを思い出す。
 ついでに、太陽と月の通り道が重なった時に、新月になると「日食」が起こり、満月だったら「月食」になる。ふだんは、あまり重なることがないから、日食にしても月食にしても、そんなにたびたび見ることができないのだ。でも、「皆既日食」は、この目で見たいものだね。本州でそれが見えるのは、2035年のこと。それも、その時に空が晴れていないとだめなんだよねぇ。
                      

16.流星の話

 夜空を見上げていると、星空にスーッと尾を引いて星が流れるのを見たことはないだろうか? それが、流星である。「流れ星」と言った方がわかりやすいかも知れない。
 それでは、その流星は、いつも夜空に光っている星が流れていくのであろうか。いや、決してそんなことはない。もし、そうだったら、夜空の星が全部なくなってしまうことになる。
 それでは、流星の正体は何か、ということであるが、実は、「宇宙のゴミ」なのである。地球のまわりには、砂や石ころぐらいの大きさの「ゴミ」がまわっていて、それが地球の引力に引きつけられて落ちて来ることがあるのである。その時、その「ゴミ」は、地球の大気と激しく摩擦し、熱が出て燃えてしまうのである。これが、流星の正体なのである。その「ゴミ」は、彗星が通った道の後にたくさんあるから、そこを地球が通りすぎると、それこそ、雨が降るごとくの流星を見ることができる。これを「流星雨」と呼んでいる。有名なものに、「しし座流星雨」(レニオズ)というのがあるが、この流星雨は33年ごとに「大流星雨」となる。私も、1966年、1998年、1999年と観察してきたが、いずれも「ハズレ」であった。1999年の出現の時は、日本ではほとんどの地方で曇っていて、見ることができなかったが、ヨーロッパでは、よく見えたということだ。羨ましい限りである。
 ところで、流星が多いのは明け方の頃だと言われる。地球の公転と自転の関係で、進行方向に「ゴミ」があることになるからである。
 それから、隕石。宇宙からの「ゴミ」が燃え尽きずに地上まで届いたものであるが、是非、見てみたいものである。うちの近くに流星が落ちて来ないかな・・・。

17.夕日の話    

 地平線が開けている地方では、西の空に真っ赤な夕日を見る機会が多いことと思う。夕日が赤いのは、地球の大気のせいで、波長の短い青や緑の光線が拡散されて残った光の色(黄や橙)を見ているからである。
 ところで、夕日を見ると、横長に歪んで見えるが、これは横にのびたからであろうか? それとも、縦に縮んだからであろうか? 正解は、縦に縮んで見えているからである。プールの中に人が立つと、足が短く見えるのと理由はほぼ同じなのである。宇宙は真空に近いが、地球の大気があるため、そこで光が曲がって、私たちの目に入ってくるからだそうだ。
 では、なぜ、横にのびて大きく見えるのだろうか? これは、目の錯覚のせいなのであるが、それは、次のところで説明していくことにする。

                  

18.「おぼんのような月」

 出た、出た、月が。 

  まあるい、まあるい、まんまるい。

   おぼんのような 月が。

 これは、満月が顔を出した時の様子を歌っているが、この歌のように、地平線から出たばかりの月は、とても大きく見える。なぜなのだろうか?
 別に月が大きくなっているわけではない。やはり、目(と頭)の錯覚なのである。理由はいくつか考えられているが、その中の一つが、遠くに見える地上風景と月との関係からである。ビルにしても、大木にしても、近くでは大きく見えるが、遠くになればなるほど小さく見える。(あたりまえのことだが。)例えば、ビルの谷間から満月が上ってきたとしよう。ビルと月が同じぐらいの大きさに見えると、その月を大きく感じてしまうものなのである。
 ところが、その月が、空高く上ってしまうと、月のまわりには広い空しかないから、今度は月が小さく感じてしまうようだ。
 しかし、厳密に言うと、上りたての月の方が小さいのですよ! 説明ではわかりにくいけど、図に描いてみると納得できると思うよ。

                 小さく見える月!?


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