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53.しし座の話

 春の代表的な星座というと、おおぐま座、しし座、おとめ座などがある。その中のしし座は、おおぐま座(北斗七星)とともに、ほぼ東の空から上ってくる。これは、しし座が「天の赤道」に近い所に位置しているからである。しし座は、「黄道十二宮」の中の一つで、星占いにも登場する星座である。
 しし座を見つける時には、逆向きの”?”マークの星々の並び方に注目するとよい。この”?”マークの一番下で輝いているのが、1等星のレグルスである。星図の中では獅子(ライオン)の心臓のあたりにある。
 先ほど説明したように、しし座は天の赤道付近にあるから、このあたりを太陽や月が通って行くことがよくある。たまには、月によってこのレグルスも隠されてしまう時がある。これを「星食」と呼んでいる。レグルスのような明るい星が隠されるということはそんなに多く起こることはないが、暗い星は(たくさんあるので)しょっちゅう隠されている。ただし、月があまりにも明るいので、観測することは難しいと思う。明るい星が月に隠される時の情報は天文雑誌などにも掲載されるから、双眼鏡などで観察してみるとよい。

54.「アデランス」。それとも、「アートネーチャー」!?

 春に観察しやすい星座の一つに、「かみのけ座」というのがある。かみのけ座は、おおぐま座としし座の中間ぐらいにあって、この2つの星座に続いて上って来る。しかし、かみのけ座はあまり見つけやすい星座とは言い難い。暗い星や星雲の集まりで、これらをどう結んでも、「かみのけ」(かつらのような形)を想像することはできないであろう。このあたりに望遠鏡を向けるとたくさんの星雲を見ることができる。こういうたくさんの星雲の集まりを「銀河団」と呼ぶそうだ。
 ところで、「かみのけ」というと、私は、「アデランス」と「アートネーチャー」を連想してしまう。この2つの会社は、かつらの売り込みに熱心なようで、たとえば電話番号も「9696」(くろぐろ)と、「2323」(ふさふさ)と張り合っている。私は未だに、その電話番号がどっちの会社のものか混同している。なお、私は、かつらには縁のない人で ある。念のため・・・。(^^;

55.おとめ座とうしかい座

 この2つも、春を代表する星座である。この2つの星座は、北斗七星の柄の部分をたどっていくと簡単に見つけることができる。柄のカーブに沿ってたどっていって、最初に見つけることができるのは、うしかい座の「アークトゥールス」、さらに南にたどっていくと、おとめ座の「スピカ」を見つけることができる。「アークトゥールス」はオレンジ色に、また、「スピカ」は白く真珠のように輝いている。
 ところで、「アークトゥールス」は、見かけの動きがとても大きい恒星である。恒星は「固有運動」と言って、それぞれが自分勝手な方向に移動している。この、固有運動のせいで、数万年先には星座の形はまったく変わっているそうであるが、その中でも、「アークトゥールス」は動きが激しく、天文の世界では、”一気に”動いている恒星の1つなのである。今の星座の並びはとても美しいと思うが、それは、いつまでも続かないのである。北斗七星やオリオン座の並びがいつかは変わってしまうのだ!

56.からす座、コップざ、うみへび座

 北斗七星の柄の先を、「春の大曲線」に沿って、最後にたどり着くのが、からす座である。からす座は四角形の星の集まりで、あまり明るい星はないが比較的見つけやすい星座である。からす座は、コップ座とともにうみへび座の背中に乗っている。うみへび座は、東西にとても長い星座で、この星座は、実に冬から夏まで観察できるのである。2等星の「アルファルド」を除いて明るい星はないが、まわりにそれより目立つ星もないので、わりあい見つけやすいのである。


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