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65.「南斗六星」

 「北斗七星」という言葉は聞いたことがあると思うが、「南斗六星」という言葉を聞いたことがある人は少ないと思う。実は、「いて座」を形作っている星々のうち、6つの星をピックアップすると、柄杓の形ができあがる。北の空にある「北斗七星」ほどりっぱなものではないが、確かにそれらしい形に見えている。西洋では、この「南斗六星」のことを、ミルクディッパー(乳の匙)と呼ぶそうであるが、かわいいスプーンにも見えるということである。
 さて、その「いて座」は、「さそり座」の左どなりにある。先ほどの「南斗六星」は、弓を引く手と射手の頭の部分を構成している。そして、その弓矢の先は、「さそり座 」の心臓の星、アンタレスを狙っているということになっているが、若干下向きにはずれているようである。
 「いて座」と「さそり座」の付近では、天の川がとくに濃くなっていて、空の暗い所では入道雲が立ち上っているようにみえる。これは、このあたりが私たちの銀河系の中心方向にあたるからである。また、この付近には、星団も多くあり、双眼鏡で見るととてもきれいである。時間が許せばぜひ観察してほしいものである。
 ついでに言うと、このあたりに「みなみのかんむり座」というのがある。北にある「かんむり座」よりへしゃげていて、明るい星がないので見つけにくいかもしれない。 

66.夏の大三角

 8月の終わり頃、天頂付近を眺めると、3つの明るい星を見つけることができる。「こと座」のヴェガ、「わし座」のアルタイル、そして、「はくちょう座」のデネブである。このなかでいちばん明るいのが、「こと座」のヴェガで、少し青みを帯びてダイヤモンドのように輝いている。次に明るいのが、「わし座」のアルタイルで、この星も白っぽく輝いている。いちばん暗いのが、「はくちょう座」のデネブである。この3つの星は、夏を代表する1等星で、三角形に並んで見えるから、「夏の大三角」と呼ばれている。そして、ヴェガとアルタイルの間を天の川が北から南に向かって流れ、「さそり座」や「いて座」に続いている。

67.七夕の話

 七夕の話を知らない人はほとんどいなであろう。
 七夕は7月7日に、おりひめ星(織女星)と、ひこ星(牽牛星)が、1年に1度出会える日である。物語では、そのようになっているが、実際には、おりひめ星(「こと座」のヴェガ)と、ひこ星(「わし座」のアルタイル)の、2つの星の距離は光速で行ったとしても17年もかかるのである。したがって、スーパーマンか天女でもないかぎり、1日で出会うのは無理なのである。こんなことを書いてしまうと、夢も何にもなくなってしまいそうだね。七夕の日に、ささの葉を流しながらこんな話をしないほうがよいと思うよ!(^^;
 なお、今は新暦を使っているのでそうはならないが、旧暦での7月7日の七夕の日には、必ず半月が出ている。牽牛と織女が天の川に対面している時に、月の舟は川の川下から上ってくることができず、かささぎが羽を伸ばして2人が出会う道を作ったのである。七夕の日には、真ん中の部分の話をとばして、最初とと最後のところだけを話していってね!

68.天の川

 星空の中には、「天の川 」と言って、うすぼんやり光って見えるところがある。65や66で説明した星座や星の間を川のように流れている。
 では、ほんとうに川が流れているのだろうか? 昔の人は、本当に天に流れる川だと考えていたようである。中国では、天の川を天にある川だと考えて、「天漢」とか、「銀河」と呼んでいる。ヨーロッパでは、天の川のことを、「ミルキーウェイ」(乳の道)と呼んでいる。でも、実際に天の川に水が流れているわけではない。天の川は無数の星の集まりなのである。望遠鏡で眺めてみると、砂粒のような星がかすかな光を放っているのがわかる。天の川には、太陽と同じぐらいの星が何と2000億個もあると言われている。それがあまりにも遠くにあるので、あのようにしか見えないのである。天の川の中心部分は、「いて座」付近にあるので、そのあたりがいちばん明るく見えている。冬の天の川は、「オリオン座」あたりを流れているが、中心とは反対方向になるので、とても淡く、なかなか、それとは気付かないであろう。 


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