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111.「宵の明星」から「明けの明星」へ

 「宵の明星」と「明けの明星」は言うまでもなく金星のことである。「宵の明星」は、夕方の西の空に見えている金星で、「明けの明星」は明け方の東の空に見えている金星のことである。
 金星は地球より内側の軌道を回っているため、いつでも太陽の近くにあることになる。だから、夕方なら西の空を、明け方なら東の空を探すと金星を見つけることができるのである。しかも、金星は地球の近くにある惑星なので、マイナス4等級ととても明るく目立つのである。昼間でも、太陽の光線を遮ると肉眼でもみることができる。もちろん、双眼鏡や望遠鏡があると、位置さえしかりとわかっていれば、はっきりと見ることができる。
 ところで、2001年3月28日までは、金星は太陽の右側にあって、「宵の明星」として見えていた。ところが、3月28日、金星は太陽と地球の間に入り(これを「内合」という)、それを境にして、左側に移動したのである。5月5日には最大光輝となり、マイナス4.5等の明るさで輝いていたはずである。さらに、6月8日には、西方最大離角となり、このころ、明け方にもっとも観察しやすくなっている。望遠鏡で見ると、下弦の月のように見えているであろう。それ以降はだんだんと丸みを増してくる。やがて年の暮れには高度をどんどんと下げていき、観察しにくくなっていくのである。

112.「麦星」〜「うしかい座」のアークトゥールス

 5月の中旬、午後8時ごろ、南東の空を見ると、オレンジ色の1等星を見つけることができる。実際には0等級の恒星で、これが「うしかい座」のアークトゥールスである。春になると麦が実り黄金色になることから、この星をそれに見立てて「麦星」と呼んでいるようだ。
 また、この「麦星」の南隣りでやや控えめに光っている真珠色の星が、「おとめ座」のスピカである。この「真珠星」が「女の星」、そして最初に出てきた「麦星」が「男の星」で、この2つの星を合わせて「夫婦星」(めおとぼし)と呼んでいる地方もある。さらに、この2つの星の近くにある「しし座」のデネボラを結んだものが、「春の大三角」であり、春の星空の目印となるのる。


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