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113.火星が大接近

 夜が更ける頃、南天に目をやると、さそり座などの夏の星座を見ることができるようになってきた。さそり座は夏の星座に分類されるが、6月ごろが観測の好機である。S字状に並んだ星々の形から、両方の爪を広げた蠍の形を連想できる。見方によっては、巨大な釣り針にも見える。瀬戸内地方では、「鯛釣り星」という所もあるそうである。
 さそり座の心臓のあたりには、1等級の明るさで輝く「アンタレス」がある。「アンタレス」という意味は、「アンチ・アーレス」、つまり、「火星に対抗するもの」とか「火星の敵」という意味である。実際に、アンタレスも火星も赤く輝いて見えている。しかも、火星が時々火星の近くにやって来て、その赤さと明るさを競っていうのである。
 さて、その赤さと明るさであるが、赤さという点では、アンタレスの方に分があるようである。しかし、明るさでは、火星に分がある。アンタレスの明るさは1等級であるのに対して、火星の明るさはマイナス2等級にもなるのである。1等級ちがうごとに2.5倍の明るさになるので、火星の方がはるかに明るく輝いていることになる。
 その火星であるが、2年と2か月ぐらいのわりあいで地球に接近してくる。その最接近の日が、今年(2001年)で言えば、6月22日で、その時の明るさが、マイナス2.5等級にもなるそうだ。望遠鏡で観ると円盤状に見え、火星の模様も観察できることだろう。この時季は梅雨の最中。なかなか好天に恵まれないかもしれないが、空が晴れていたら、南天の空に、ぜひ注目してほしいものである。

114.左右に分断された星座〜へび座〜

 さそり座の上あたりを見ると、将棋の駒のように五角形に並んだ星の集まりに気付く。とは言っても、それは大きく拡がっているので、最初のうちはなかなか見つけにくいかもしれない。この五角形の星の並びが、「へびつかい座」である。へびつかいは、さそりを踏みつけるような格好で、へびを両手に持っている。その、「へび座」であるが、へびつかい座の胴体で左右に分断されている。したがって、へび座は、「頭部」と「尾部」に分けられている。1つの星座で、このように2つの部分を持つ星座は珍しい。
 へび座の頭部は、「かんむり座」に向いている。「かんむり座」は、星が半円形に並んでいるので、すぐにそれだとわかるであろう。


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